みなさんは、よく眠れていますか?
なかなか寝付けない、夜中に何度も目が覚める、目覚めが早くそのあと眠れない…なんていうことはありませんか?
日本人を対象とした調査によれば、5人に1人が「睡眠で休養がとれていない」、「なんらかの不眠がある」と回答しています。
加齢とともに不眠は増加します。
60歳以上の方では約3人に1人が睡眠問題で悩んでいます。
この記事では、沖縄の地域密着型SMOである株式会社ウェルビーで不眠症治験を担当しているスタッフが、睡眠のお悩みについて詳しく解説します。
不眠対策として今すぐ実践できるアドバイスもお送りしますので、気になる方はぜひ実践してみてください。
目次
不眠は4つのタイプに分類されます
寝つきが悪い<入眠障害>
ふとんに入ってもなかなか寝つくことができなくて辛い。
不眠の中ではもっとも訴えが多い。
夜中に何度も目が覚めてしまう<中途覚醒>
眠りについた後、夜中に何度も目が覚めてしまい、再び眠りに入ることが難しい。
高齢になるにしたがって多くあらわれる。
思ったよりも早く目が覚める<早朝覚醒>
朝、望む時刻より2時間以上早く目が覚めてしまい、まだ眠りたいのに、眠れない。
高齢者に多い。
よく眠れたと思えない<熟眠障害>
睡眠時間のわりには、朝起きた時にぐっすり眠れた感じがしない。
不眠症とは?
不眠症とは、入眠障害・中途覚醒・早朝覚醒・熟眠障害などの睡眠問題が1ヶ月以上続き、日中に倦怠感・意欲低下・集中力低下・食欲低下などの精神や身体の不調が出現する病気です。
不眠の原因は?
不眠の原因は、夜更かしによる体内時計のリズムの乱れ、ストレスや心配事、環境の変化などの心理的な影響、こころやからだの病気の影響、薬の副作用など、不眠の原因はさまざまです。
また、寝る前の飲酒も不眠の原因になることがあります(アルコールによって夜中に何度も目が覚めたり眠りが浅くなったりします)。
眠れない時に、スマートフォンを見たり、ゲームをしたりすることも不眠の原因になりえることが指摘されています。
不眠の原因は1つとは限らず、これらが組み合わさっていることも多いといわれています。
不眠が続くと…
不眠が続くと、熟睡できないため疲労感がとれず、日常生活に支障が生じやすくなります。
日中の眠気が強く残っていると、注意力や記憶力を要求されるような作業の能率が低下し、気分も沈みがちになります。
また、ささいなことに過度に反応し、対人関係に過敏になり、すぐに怒りっぽくなりがちです。
さらに、睡眠中には成長ホルモンが分泌されたり、免疫力が増強されて身体組織の修復が行われたり、日中の情報や記憶が整理・定着されたりすることがわかってきていますが、不眠になるとこうした機能が不十分になり、心身の不調があらわれやすくなると考えられます。
不眠が続くと、今夜も眠れないのではないかと不安を感じるようになり、緊張や睡眠状態へのこだわりのために、なおさら不眠が悪化するという悪循環に陥ることがあります。
ご自身での不眠対策で改善されないときは専門医に相談しましょう。
睡眠薬に対する過度の心配はいりません。現在使われている睡眠薬は適切に使用すれば安全です。
不眠対策は?
不眠対策の第一歩は不眠の原因を診断し、取り除くことです。自分流の安眠法をみつけましょう。
1.就寝・起床時間を一定にしましょう
睡眠覚醒は体内時計で調整されています。週末の夜ふかしや休日の寝坊、昼寝のしすぎは体内時計を乱すので注意しましょう。平日・週末にかかわらず同じ時刻に起床・就床する習慣を身につけましょう。
2.睡眠時間にこだわらないことが大切です
睡眠時間には個人差がありますから、「〇時間眠らないといけない」と決めないことが大切です。
どうしても眠たくならないときは思い切って寝床から出てください。
寝床にいる時間が長すぎると熟眠感が減ります。
眠れずお昼寝をとる場合は、午後3時前までに30分以内のお昼寝にしましょう。
3.太陽の光を浴びましょう
太陽の光や強い光には体内時計を調整する働きがあります。
光を浴びてから14時間目以降に眠気が生じてきます。
早朝に光を浴びると夜寝つく時間が早くなり、朝も早く起きられるようになります。
逆に夜に強い照明を浴びすぎると体内時計が遅れて早起きが辛くなります。
4.軽い運動をしましょう
運動習慣は、寝つきをよくして、夜中に目が覚める中途覚醒を減らすことが知られています。
運動は午前よりも午後に軽く汗ばむ程度の運動をするのがよいようです。
毎日ではなくても、週に2、3回、30分~1時間程度の運動習慣を身につけることが重要です。
厳しい運動は刺激になって寝付きを悪くするため逆効果です。
負担にならない程度の有酸素運動が効果的です。
5.ストレス解消法をみつけましょう
ストレスは睡眠の大敵です。
音楽・読書・スポーツ・旅行など、自分に合った趣味をみつけて上手に気分転換をはかり、ストレスをためないようにしましょう。
6.寝る前にはリラックスしましょう
睡眠前に副交感神経を活発にさせることが良眠のコツです。
寝る前の入浴は40℃くらいのぬるめのお風呂に30分くらい時間をかけてゆっくりつかると、体の表面の血行が良くなり、深部体温が放散されやすくなります。
これによって、徐々に深部体温が下がり、眠りにむけて準備が整っていきます。
半身浴は心臓への負担も少なく、副交感神経を優位にさせ、睡眠の質を向上させてくれることが分かっています。
睡眠前には、好きな音楽や読書などでリラックスする時間をとって心身の緊張をほぐしましょう。
7.寝る前のカフェイン、タバコ、アルコールは控えましょう
夕食後のカフェインは避けましょう。
コーヒー、緑茶、紅茶、ココアなどに含まれるカフェインは、覚醒作用があり、寝つきを悪くしたり、深い睡眠を妨げたりする可能性があります。
また、タバコに含まれるニコチンにも覚醒作用があります。
寝酒をすると寝付きが良くなるように思えますが、効果は短時間しか続きません。
飲酒後は深い睡眠が減り、早朝覚醒が増えてきます。
一方、寝る前に鎮静効果があるといわれているカモミールティーなどのハーブティーを飲むと、リラックス効果が期待できます。
8.眠りやすい環境をつくりましょう
光、温度や湿度などの寝室の環境は、睡眠の質と関係しています。
明るい光は脳と身体を覚醒させます。
スマートフォンやテレビのディスプレイからの光は刺激が強いので、就寝前には見ないようにしましょう。
寝室の照明は暗くすること、睡眠のための適温は20℃前後で、湿度は40%-70%くらいに保つのが良いといわれています。
ベッド・布団・枕・照明などは自分に合ったものを選びましょう。
不眠対策で改善されない時は…
ご自身の不眠対策で不眠が治らないときには専門医に相談をしましょう。
不眠症は精神科や心療内科で扱います。精神科へ行くのは気が重いという方はまずかかりつけ医に相談してみましょう。
大切なのは眠れないことを一人でくよくよ考え込まないこと。
その心配する気持ちそのものが、不眠を悪化させるだけではなく、心(うつ病など)や身体(ストレス性疾患など)に悪影響を与えてしまう可能性があります。
睡眠薬の使用は?
現在の不眠治療は睡眠薬を用いた薬物療法が中心です。
睡眠薬は一度使い始めると手放せなくなり、次第に量が増えていくので副作用が怖い…と思い込んでいる方が多いようですが、最近の睡眠薬はそういう心配はありません。
かつて用いられていた睡眠薬は効果が強力な反面、副作用も強く安全性に問題がありました。
しかし現在広く使われている睡眠薬は不安や緊張・興奮をやわらげて眠りに導くので自然に近い眠りが得られ、副作用も少なく安心して使えます。
医師の指導の元に適切に使用しましょう。
また、一時的な不眠の症状が改善しない場合、ドラッグストアで購入できる睡眠改善薬を試すことも一つの方法です。
これはアレルギー薬の副作用(眠気)を利用したものです。
一時的な不眠ではない場合は、精神疾患等病的な原因のある可能性があるため、専門医に相談をしましょう。